“検索×レコメンド”の改善で「心地よい購買体験」の向上を目指す

サイト名 | @cosme SHOPPING
URL | https://www.cosme.com/
月間ユニークユーザー数1,670万人を誇る、日本最大級の美容プラットフォーム「@cosme」。その公式通販サイトである「@cosme SHOPPING」は、百貨店ブランドからバラエティーコスメまで、約2,600ブランド・5.1万SKUという圧倒的な商品数を取り扱っている。
これほど膨大な選択肢の中から、ユーザーはいかにして「自分の欲しい商品」に出会い、あるいは「予期せぬ新しい商品」を発見しているのか。
同サイトでは「シンプルで心地よい購買体験」を掲げ、サイト内検索とレコメンドエンジンを“インフラ”と定義して磨き上げている。今回、株式会社アイスタイルリテール リテール開発戦略部 グロースグループ マネージャーの越智 あい氏にお話を伺った。
※本記事は、2025年12月に開催された「DGBT CommerceDay 2025」の登壇レポートです。
登壇者プロフィール
株式会社アイスタイルリテール
リテール開発戦略部 グロースグループ マネージャー
越智 あい 様
日本最大級の美容プラットフォームが目指す「心地よい購買体験」
――まずは、@cosmeおよび@cosme SHOPPINGの事業規模や特徴について教えてください。越智氏:@cosmeは、生活者のデータを軸に、日本No.1の美容プラットフォームを構築しています。メディア・店舗・ECという3つのプラットフォームを軸に、ユーザーと化粧品ブランドの接点を創出し、そこから得られるデータを価値化するビジネスモデルを展開しています。
現在、月間ユニークユーザー数は約1,670万人に達しており、日本の20代〜30代女性の過半数が毎月利用しています。ECと店舗の併用率は約26%で、このお客様はLTVが高い傾向にあります。年に2回の大型イベントも加え、クロスユースの促進を戦略の柱としています。
ECサイトである「@cosme SHOPPING」は、数百円のアイテムから数万円の百貨店ブランドまで、約5.1万SKUの商品を展開しています。昨年の売上高は182億円でした。これだけの商品数があるからこそ、私たちはユーザーに対して「シンプルで心地よい購買体験」を提供することを目指しています。

「心地よい購買体験」の実現を支える検索とレコメンドはインフラのような存在
膨大な商品の中から、ユーザーが直感的に「自分の欲しいもの」にたどり着くにはどうすればよいか。同社が出した答えは、サイト内検索とレコメンドという基本機能の役割を明確化し、それぞれのパフォーマンスを上げることだった。――「心地よい購買体験」を実現する上で、検索とレコメンドで大切にされていることはありますでしょうか?
越智氏:ECは店舗と違って”画面上で探す”ことになります。2,600ブランドに5.1万SKUもの商品を画面上で「探す」「出会う」を創出するために、目的買いのお客様へは検索機能の使いやすさを、偶発的な出会いをレコメンドをといったように機能の使い分けを体験できる設計をしています。検索とレコメンドはなくてはならない「インフラ」のような存在です。

株式会社アイスタイルリテール
リテール開発戦略部 グロースグループ マネージャー 越智 あい 様
検索は「偶発の導線」から「売上をつくる主導線」へ
かつてサイト内検索は、導入したものの、チューニングや設定が不十分で満足なパフォーマンスを発揮できていない存在だった。しかし、「NaviPlusサーチ」での改善により、検索を単なるツールから、事業成長を牽引する強力なエンジンへと変貌させた。その成果は、インパクトのある数字として出ている。
@cosme SHOPPINGにおけるNaviPlusサーチの活用例
――今回、御社ではサイト内検索「NaviPlusサーチ」を活用して大きな成果を上げられています。具体的に課題や改善内容についてご紹介ください。
越智氏:以前は、お客様から「探している商品が見つからない」というお声をいただくことがあり、データを見ても検索後の離脱が多いのが課題でした 。そこで、単に検索ツールを入れるだけでなく、専任の担当者を1名配置し、UIの改善と検索ロジックのチューニングを同時に進める体制を整えました。
その結果、改善に着手する前の2023年と比較して、数値が改善しました 。これは、検索機能が単なる「商品を探すためのツール」から、明確に「売上をつくる主導線」へと進化したことを示しています 。
――具体的にどのようなチューニングを行っているのでしょうか。
越智氏:大きく3つのサイクルで改善をしています。
1. 社内からの検索上の課題報告を収集
2.0件キーワードから必要な語彙をピックアップ
3.実態に沿った語彙の管理を継続
事例①:カタカナ・英語表記のブランド・商品名の「ゆらぎ」を吸収する
化粧品ブランドのアルファベット表記など、ユーザーの多様な入力による表記ゆらぎを吸収する必要がありました。そこで、「口紅」「リップスティック」など、考えられるあらゆる入力パターンを類義語として登録し、どれを入力しても正しく商品にたどり着けるようにしています。
事例②:同義語登録で「キーワードの差」を吸収し、検索漏れを徹底防止
例えば、「クリスマスコフレ」や「ホリデーコレクション」など、メーカーによって呼び方が異なる場合でも、ユーザーがどちらで検索しても全ての商品と比較検討ができるよう同義として扱い、検索結果の分散を防いでいます。同義語はこれまで約300件ほど登録しています。
事例③:意図しない検索結果を排除し、最短距離で商品へ導く
「クレンジング」というキーワードにも、メイク落とし、頭皮ヘアケア、ボディケアなどのカテゴリがあります。以前は、「クレンジング」の検索結果で、「メイク落とし」と「頭皮用クレンジングブラシ」が混同した結果になっておりノイズが発生していました。検索ヒット数を増やすことだけが正解ではないため、検索キーワード×カテゴリでの絞り込みをパラメータで追加し、表示結果のブレを解消しました。
こうした緻密なチューニングは一見すると膨大な手間を要するように思えるが、「NaviPlusサーチ」には、検索ログからAIが自動でキーワードを最適化する機能や、専任担当者による運用支援サポートが提供されている。これらを活用することで、担当者の負荷を抑えながら高精度なチューニングを実現している点も、継続的な改善を支える重要なポイントになる。
それ以外にも、売上や在庫、@cosmeの人気順を反映した検索結果など検索一覧でのソートのバリエーションを増やしたり、人気のキーワードやカテゴリから探せたりと、検索メニューの充実も検索体験の向上に貢献しているという。
アプリへの展開で変化した、ユーザの検索行動
夏頃には@cosmeアプリにも「NaviPlusサーチ」を導入した。導入後の効果として、検索キーワードの入力の手間を減らし、誤入力を未然に防ぐスムーズな検索が提供できていることを示している 。<NaviPlusサーチ導入効果>
・テキスト入力の平均文字数が減少・サジェスト(予測変換)の利用率が約2倍に伸長
さらに興味深い変化として、検索結果一覧ページでの「LIKE(お気に入り)」登録数が増加した。検索精度とUIが向上したことで、ユーザーが詳細ページへ遷移せずとも、一覧画面の情報だけで「これは良い」と判断し、一気に比較検討の候補に入れられるようになったためだ。不要なタップを減らし、より直感的で効率的な検索体験を実現できているという。
サイト内検索から見つけるトレンド・ユーザーニーズ
検索キーワードのランキングは、ユーザーの「今」の興味関心を映す鏡だと言える。実際に「NaviPlusサーチ」の管理画面から様々なデータを見ることができる。検索されたキーワードの活用について伺った。――サイト内検索の傾向から見えたユーザーニーズをどのように活用されてますか?
越智氏:まず、「0件ヒット」ですが、当社で取り扱っていない商品やブランドもあるため、社内で連携し新たな取り扱いとして検討しております。
「人気キーワード」については、ブランド名やシリーズ名、商品カテゴリ、成分、お悩み、企画(●●キャンペーン等)などさまざまなキーワードで検索されており、ユーザーのリテラシーが非常に高まっていることを実感します。こうした検索上位のキーワードは、特集ページの企画やキャンペーンのヒントとして活用しています。
「行動履歴」×「Web接客ツール」連携によるパーソナライズレコメンドの実現
――続いて、レコメンド機能の活用について教えてください。越智氏:レコメンドでは、ユーザーの行動履歴に基づいた提案を基本としつつ、細かなチューニングを行っています。
ユーザーの閲覧や購買データ以外に、商品データも掛け合わせたハイブリットなレコメンドを実装することで、より次に興味をもっていただる確率の高い商品がレコメンドされるようにしています。
また、Web接客ツールの「KARTE」とも連携し、特定の条件に当てはまるユーザーに対してポップアップでレコメンドを表示するなど、ツールの垣根を超えた活用も進めています。

今後の展望:データとAIで「探さなくても出会える」体験へ
――最後に、今後の展望をお聞かせください。
越智氏:今後も、商品数が増え続ける中で、素晴らしい商品が埋もれてしまわないよう、「出会いやすさ」は引き続き追求したいと考えています。 店舗であれば、気軽に店員さんに声をかけることができますが、ECの場合はAIが情報を引き出してパーソナライズしてくれるような購買体験を目指していきたいですね。
アイスタイルリテールでは、今後もユーザーさんとブランドさんとの出会いを最大化し、心地よいプラットフォームを進化させていくという。
【関連サービス】
・サイト内検索サービス「NaviPlusサーチ」

