BtoB向けECサイト内検索とは?課題や機能、導入方法を解説
BtoB ECサイトでは、型番や品番、専門用語などの表記ゆれが起きやすいうえ、顧客ごとに価格や閲覧できる商品が異なることも多く、BtoC向けの検索機能では対応できないケースがあります。検索精度の低下は、再購入のしやすさや受注効率にも直結するため、BtoBにおける特徴を知っておくことが重要です。
この記事では、BtoB向けECサイト内検索の基礎知識や課題、必要な機能、導入方法を解説します。
この記事でわかること
・BtoBのECサイト内検索には、顧客ごとの価格・商品出し分けや型番・品番による検索など、BtoC向けとは異なる要件が求められます。
・BtoBのECサイト内検索では、表記ゆれによる検索漏れや顧客別出し分けの難しさ、大量SKUによる運用負荷といった課題があり、検索ツールの機能でそれらに対応する必要があります。
・BtoB向けECサイト内検索の導入では再購入率の向上、業務効率の改善、需要データの活用といったメリットがあります。
BtoBにおけるECサイト内検索とは?
ECサイト内検索とは、ECサイト上で商品や部品をキーワードなどで検索できる機能のことです。法人・卸向けで再購入が多くなるBtoB商材では、顧客ごとの価格・商品出し分けや型番検索など、BtoC向けとは異なる観点での機能が求められる点に注意が必要です。ここでは、検索機能が担う役割とBtoCとの違いを確認しましょう。
ECサイト内検索の役割
ECサイト内検索機能は、ユーザーが目的の商品に素早くアクセスできるだけでなく、企業側にとっても顧客の検索行動を可視化できる重要な接点です。特に大量のSKUを扱うBtoB ECサイトでは、カテゴリ導線だけでは見つけにくい商品も多く、検索が購買行動を支える主要な役割を担います。
経済産業省の調査によると、国内のBtoB EC市場は2024年に514.4兆円に達しており(※)、取引先や商品数の増加に伴い、欲しい商品を探しにくくなるケースも増えています。こういった背景から検索体験の重要性は今後ますます高まるといえるでしょう。
※出典:「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
BtoCとの違い
BtoB向けとBtoC向けのサイト内検索には、いくつかの違いがあります。最大の違いは、顧客ごとに表示価格や閲覧可能な商品が異なる点です。BtoB ECでは契約条件によって価格や商品が変わるためです。また、検索キーワードも、商品名やカテゴリー名だけでなく、型番・品番検索の需要が高い点も特徴です。そのほかの点も含め、主な違いをまとめると以下の表のようになります。
■BtoB ECとBtoC ECのサイト内検索の主な違い
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比較項目 |
BtoB EC |
BtoC EC |
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価格・商品の表示 |
取引先ごとに価格や商品を出し分け |
基本的に全顧客へ同一表示 |
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検索キーワード |
型番・品番・専門用語が中心 |
商品名・カテゴリー名が中心 |
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主なアクセス環境 |
PCが中心 |
スマートフォンが中心 |
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購買行動 |
同一商品の繰り返し購入が多い |
新規商品を探索する購買が多い |
BtoB ECでは、指定された型番・品番でなければ発注要件を満たせず、代替品では対応できないケースも少なくありません。一方、BtoC ECでは似た商品であれば代替が受け入れられることも多く、この点も検索精度への要求水準の違いにつながっています。
BtoB向けECサイト内検索によくある課題
BtoB ECサイトでは、商品点数の増加やデータ構造の複雑化、顧客要件の多様化が進み、従来の検索機能では対応しきれない課題が顕在化しています。課題を整理したうえで、必要な機能と導入方法を検討することが、検索体験の改善の第一歩となります。
表記ゆれによる検索漏れが発生しやすい
BtoB向けECサイト内検索でよくある課題のひとつが、表記ゆれによる検索漏れです。部品名や型番、メーカー名はひらがな・カタカナ・漢字・英数字の表記が混在しやすく、検索漏れが発生しやすいためです。「ネジ」「ねじ」「螺子」のように表記が混在すると、片方の表記でしか検索できないシステムでは商品にたどり着けません。表記ゆれ対応の遅れが離脱につながることも考えられます。
また、専門用語、略称といった独自キーワードでの検索も発生するため、類義語登録などが必要となります。
顧客別の検索結果の出し分けが難しい
BtoB向けECサイト内検索では、法人顧客ごとに価格や閲覧可能商品が異なるケースもあるため、同じキーワードでも顧客ごとに適切な検索結果へ出し分ける仕組みが求められます。取引先ごとの価格・商品の出し分けが正しく機能しないと、検索結果には表示されるものの、商品ページに遷移すると「購入不可」のエラーが出たり、想定と異なる価格が表示されたりするなど、顧客の購買体験を損なうトラブルにつながります。多くのBtoB ECサイトでの必須要件といえますが、商品データや権限管理が複雑になりやすい点が、顧客別の出し分けを実現するうえで注意すべきポイントです。
大量のSKUにより運用負荷が高くなりがち
BtoB向けECサイト内検索では、商品点数が膨大になるため、検索精度やレスポンス、運用負荷の課題が表面化しやすくなります。特に、アイテムデータや在庫情報の更新頻度が高い場合、検索結果への反映が遅れると、欠品商品が表示されたままになるなど、顧客の購買体験に影響を及ぼします。新商品追加やトレンド変化に合わせた継続的なチューニングが必要となりますが、社内リソースだけでは継続的な運用が追いつかないケースも想定しなければなりません。
画像だけでは商品を判別しにくい
BtoB ECサイトでは、部品や資材の画像が登録されていない、あるいは登録されていても見た目だけでは判別できないケースが多くあります。針金やコードなどのように、種類が違っても外見上はほぼ同じに見える商品もあり、画像を頼りにした一覧・カテゴリー導線では目的の商品にたどり着きにくいこともあります。こうした商材では、型番・規格・サイズ・材質といった属性情報を正確に検索・絞り込みできる検索機能を用意することが重要な役割を持ちます。
BtoBのECサイト内検索で必要な機能
BtoB向けECサイト内検索には、下記のような表記ゆれ対応、サジェスト、絞り込み、顧客別出し分けといったBtoB特有の商習慣に合った機能が求められます。これらの機能をECプラットフォーム側で対応するのか、検索エンジン側で対応するのかは製品・実装方法によって異なるため、要件定義の段階でどちらが担うのかを整理しておくことが重要です。
表記ゆれ・同義語対応
BtoB向けECサイト内検索において、表記ゆれ・同義語対応は重要な機能です。広範囲・高精度の辞書があれば、表記の混在や業界特有の略称も押さえたうえで適切な商品を表示できるため、検索結果での表示漏れを防げます。同義語辞書を充実させれば、言い回しが違っても目的の商品を探しやすくなります。
こういった表記ゆれ・同義語への対応については、AIの技術を活用して精度を高めている専用ツールも登場しているため、最新の製品の機能を確認するのがおすすめです。
サジェスト・絞り込み
BtoB向けECサイト内検索では、検索窓への入力から候補を表示するサジェスト機能や、条件で絞り込むファセット検索も欠かせません。例えば、過去に検索した型番や品番を記憶する履歴サジェストは、再訪顧客の検索体験を向上させます。また、価格帯やサイズ、素材、メーカーなど多様な条件で絞り込めれば、商品名だけでは探しづらい商品も見つけやすくなります。
顧客別パーソナライズ
顧客ごとの購入履歴にもとづき、よく購入する商品を検索結果の上位に表示するパーソナライズ機能も、BtoB向けECサイト内検索では重要です。購入履歴に応じて表示順を最適化できれば、担当者は毎回同じ商品を探し直す手間を省けるため、発注業務の効率化につながります。
また、顧客別・会員種別に応じた商品・価格の出し分けに対応できることは、BtoB ECでは必須の機能となります。
BtoBにおけるECサイト内検索導入のメリット
BtoB向けECサイト内検索の導入は、顧客体験の向上と事業者側の業務効率化の両方にメリットをもたらします。主なメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
再購入率の向上
BtoB向けECサイト内検索を導入するメリットのひとつは、再購入率の向上です。過去の購入履歴や型番検索に対応できれば、リピート購入の手間が減り、顧客満足度が高まるため再購入を促せます。検索体験の改善は、離脱率の低下やCVR(コンバージョン率)向上にもつながります。
業務効率の改善
BtoB向けECサイト内検索を導入して検索精度を向上させられれば、電話やFAXでの問い合わせといったアナログな対応が減り、営業担当者や受注担当者の業務負荷を軽減できます。ユーザー自身が目的の商品にたどり着けるようになり、問い合わせ対応を削減できるためです。取扱商品数が多いBtoB ECサイトほど、この効果を実感しやすいでしょう。
需要データの活用
BtoB向けECサイト内検索を導入すれば、検索ログを分析できるようになり、どのようなキーワードで商品が探されているか、0件ヒットのニーズは何かを把握できます。検索ログは、生産継続・終了の判断において売上・販売数量を補完する重要な情報源です。これまでメーカーや製造ラインへの判断は、売上や販売数量が主な指標でしたが、売上が伸びていない商品でも検索は多い、あるいは売上に表れない0件ヒットのキーワードがある、といったケースもあります。検索データを組み合わせることで、実際の需要を売上実績だけよりも早い段階で捉えることが可能です。
顧客体験の向上だけでなく、マーケティングにも活用できることはBtoB向けECサイト内検索導入のメリットといえます。
BtoBでのECサイト内検索の導入方法
BtoB向けECサイト内検索の導入方法は、BtoC ECと大きく異なるわけではなく、自社の規模・要件・運用体制に応じて3つの選択肢から選ぶことになります。EC標準機能、オープンソース、専用ツールのいずれを選ぶにしても、自社のBtoBサイト特有の機能とリソースの要件を満たせるかどうかで見極めることが重要です。
ECプラットフォームの標準機能を使う
BtoB向けECサイト内検索を導入するために、ECプラットフォームの標準機能を使う方法があります。この方法のメリットは、導入コストと手間を抑えられる点で、開発費や導入期間を抑えられます。
ただし、顧客別の出し分けや高度な表記ゆれ対応など、BtoB特有の要件を満たせるかどうかは事前の確認が欠かせません。
オープンソースで開発する
BtoB向けECサイト内検索の導入方法として、Apache SolrやElasticsearchといったオープンソースの技術を組み込み、検索機能を構築する方法もあります。カスタマイズ性の高さはメリットといえますが、専門的な知識と開発・運用の工数がかかる点には注意が必要です。
自由度が高い分、要件定義から運用まで自社で担う必要があるため、社内に技術リソースがある場合に向いた選択肢です。
専用ツールを導入する
検索精度やUI、分析機能にこだわりたい場合は、サイト内検索専用ツールの導入が有効な選択肢です。検索ログの分析機能が充実した製品も多く、データ活用も進めやすくなります。
大規模SKUや複雑な要件を抱える場合は、DGビジネステクノロジーの「NaviPlusサーチ Advanced」のような上位モデルを活用すれば、個別カスタマイズや専任チームによる伴走支援といったサービスを受けることも可能です。
BtoB向けECサイト内検索の導入のステップ
BtoB向けECサイト内検索の導入は、下記のとおり課題の洗い出しから要件定義、開発方法とツールの選定、開発、テストを経てリリースする流れが一般的です。稼働後の継続的なチューニングも欠かせません。
<BtoB向けECサイト内検索の導入フロー>
1. 自社の課題を洗い出す
2. 要件定義を行う
3. 要件を満たせる開発方法・ツールを選定する
4. システム連携を確認して開発を行う
5. テスト環境での確認を経て本番リリースを行う
6. 稼働後も継続的に改善する
BtoB向けの要件を満たせるECサイト内検索を導入しよう
BtoB向けECサイト内検索では、表記ゆれによる検索漏れや顧客別の価格・商品出し分け、大量SKUによる運用負荷など、特有の課題があります。これらの課題には、表記ゆれ・同義語対応やサジェスト・絞り込み、顧客別パーソナライズといった機能で対応することが重要です。BtoB向けECサイト内検索を導入したい場合は、標準機能・オープンソース・専用ツールの3パターンの方法があることを踏まえて、自社の規模や要件に応じて開発方法・ツールを選びましょう。
大規模SKUや複雑な要件を抱えている場合は、専用ツールの導入がおすすめです。「NaviPlusサーチ Advanced」であれば、個別カスタマイズや専任チームによる伴走支援もご提供可能です。BtoB向けECサイト内検索についてお困りの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
BtoB向けのECサイト内検索はBtoC向けの機能で代用できますか?
基本的には代用できる場合もありますが、詳細な機能の確認は必要です。BtoC向けの検索機能で、顧客別の価格出し分けや型番検索、パーソナライズなどBtoB特有の要件に対応できるかを確認しましょう。
BtoB向けのECサイト内検索は、社内に検索の専門知識やエンジニアがいなくても、導入・運用できますか?
オープンソースでの自社開発には、専門知識のあるエンジニアと一定の工数が必要です。一方、専用ツールを導入する場合は、専任のエンジニアがいなくても導入・運用しやすく、既存のECシステムと連携して検索機能のみを差し替えられます。稼働後の辞書改善を伴走支援するサービスもあり、社内リソースが限られる場合でも改善を進めやすいでしょう。大規模SKUや複雑な要件を抱えているケースでは、「NaviPlusサーチ Advanced」のように専任チームが導入から運用まで支援する上位モデルも選択肢となります。
BtoB向けのECサイト内検索を導入した後の運用上の課題はありますか?
新商品の追加や表記ゆれの発生に合わせた検索辞書・ロジックの継続的なチューニングが、運用上の主な課題です。専用ツールや上位モデルを選べば運用サポートを受けられるため、社内リソースが限られる場合でも改善を進めやすくなります。

